柔術は、道着の襟や袖をつかんで攻防する格闘技です。つかむ時間が長く、相手に振りほどかれることもあるので、始めたばかりの人ほど指を痛めやすくなります。
日本整形外科学会は、「突き指」を指のけがの総称とし、骨折や脱臼、腱や靱帯の断裂が含まれることもあると説明しています。この記事では、柔術で指を痛めやすい場面、痛めたときの受診の目安、予防のしかたとテーピングの巻き方をまとめます。
柔術で指を痛めやすい場面
柔術を始めたばかりの人に特に多いのは、指の第1関節と第2関節のケガです。こじらせると、治るまで長引くことがあります。
痛めたときにしてはいけないこと
痛めたら、その日の練習はやめて先生に伝えましょう。無理に曲げ伸ばしをして、痛みを確かめるのも避けます。
- 指が強く腫れている、痛みが強い
- 指の形が変わっている、関節がずれて見える
- 指先(第1関節)が曲がったままで、自分で伸ばせない
- 指を動かしにくい状態が続いている
指先が曲がったまま伸ばせないときは、「マレット変形(槌指)」のことがあります。腱が切れている場合と骨折している場合があり、レントゲンで見分けて治療を決めます(日本整形外科学会)。「ただの突き指」と決めつけず、早めに診てもらいましょう。
予防の基本は「握りすぎない」
指を守るいちばんの方法は、テープより先に、つかみ方を見直すことです。
- 強く握り続けないと組み手が保てない場面は、体の向きや距離を見直す合図と考える
- 袖や裾をつかむときは、袖口や裾の中に指を入れない
- 相手に振りほどかれたら、無理に持ち続けずに手を離す
- 爪は短く切り、指輪は外す
練習のあとに指がこわばる人は、握る時間が長すぎないか、先生に組み手を見てもらうのも一つの方法です。
予防のテーピングの巻き方
よく使う指の関節には、予防のテープを巻く人が多くいます。痛めてから巻くより、痛める前に巻くのが目的です。
- 1
細いテープを用意する
指用の幅1.5cmほどのテープを使います。太いテープは半分に裂いて使えます - 2
関節の上下に巻く
守りたい関節(第2関節など)をはさんで、その上と下に1〜2周ずつ、軽く巻きます - 3
関節の上で×にする
上下の巻きのあいだを、関節をまたいで斜めに通し、×の形にします - 4
端を止める
最後にもう一度、上下に1周ずつ巻いて端を止めます - 5
曲げて確かめる
指が曲げられて、指先の色が変わらないか、しびれないかを確かめます
きつく巻きすぎると、血の流れが悪くなります。関節が少し曲げにくくなるくらいが目安です。テープが関節の曲がりすぎを抑えるので、指先だけで握るより、腕全体でつかむ動きになりやすくなります。
巻き方は、文章だけでは分かりにくいところもあります。初めて巻くときは、先生や先輩に一度見てもらうと安心です。
痛めた指を守る巻き方
指を痛めたあと、医師から練習してよいと言われた場合は、痛めた指を隣の指といっしょに巻く方法があります。2本の指がまとまるので、痛めた指が横へずれにくくなります。この場合も、血が止まらないように、きつく巻きすぎないことが大切です。
痛みが続いているうちは、練習の強さを下げ、スパーリングを休むことも考えましょう。練習の再開の時期は、診てもらった医師に確かめてください。
指が太くなる・爪が割れるとき
同じ関節を何度も痛めていると、腫れが引かずに関節が太く見えたり、曲げにくくなったりすることがあります。「柔術をしているとそうなるもの」と放っておかず、腫れや痛みが続くときは整形外科で相談しましょう。
爪は、長いと道着に引っかかって割れたり、はがれたりします。練習の前に短く切り、角も丸くしておきます。割れたりはがれたりしたときは、その日の練習をやめて傷口を清潔にし、出血が止まらない・深く割れたときは受診してください。
よくある質問
テーピングは毎回したほうがいいですか?
痛みがない指には、必ずしも必要ではありません。グリップを多く使う人や、同じ指を痛めやすい人は、予防として巻いておくと安心です。
どんなテープを買えばいいですか?
指に巻きやすい細いテープで十分です。太いテープしかないときは、半分に裂いて使えます。
指が痛いまま練習してもいいですか?
腫れや強い痛みがあるときは、練習を休んで受診しましょう。ほかのケガの予防や、ケガをしたときの対応は柔術のケガが心配な方へにまとめています。
耳のケガも心配です
押さえ込みや絞め技でこすれて、耳が腫れることがあります。予防と対処は柔術で耳がわくのはなぜ?で紹介しています。
参考:日本整形外科学会「突き指」、日本整形外科学会「マレット変形(槌指)」、日本臨床整形外科学会「突き指は、引っ張って治せ」、IBJJF公式ルールブック(6.2.2 H)
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