柔術の試合に出るとき、いちばん気をつけたいのが体重です。IBJJF(国際ブラジリアン柔術連盟)のルールでは、最初の試合の直前に、道着を着たまま計量します。計量は1回だけで、体重が上限を超えていたら、その場で失格になります。日本ブラジリアン柔術連盟(JBJJF)の大会も、IBJJFのルールで行われます。
計量のすぐあとに試合があるので、水抜きで落とした体重を試合までに戻す時間がありません。この記事では、計量のしくみと、無理をしない減量の考え方、前日と当日の食べ方をまとめます。
柔術の計量のしくみ
| 項目 | IBJJFのきまり |
|---|---|
| いつ量る | 最初の試合の直前 |
| 何を着て量る | 試合で着る道着(ノーギの部はノーギの服装) |
| 何回量れる | 1回だけ |
| 上限を超えたら | その場で失格 |

量るのは「道着を着た重さ」です。普段の体重だけで階級を選ぶと、道着の分だけ重くなります。試合で着る道着を着て体重計に乗り、どれくらい余裕があるかを確かめておきましょう。
計量の時間や細かいきまりは、大会によって違うことがあります。出る大会の要項も必ず読んでください。階級ごとの体重の上限は、用語集の階級にまとめています。
急な減量が不利で危ない理由
国立スポーツ科学センターの体重管理のガイドブックでは、1週間から数日で体重の5%以上を落とすことを「急速減量」と呼んでいます。
減るのは主に水分
急速減量で減る体重の約70%は、体の水分です体が動かなくなる
一般に、体重の2%以上の脱水で、持久力や判断する力が落ちるといわれますかぜをひきやすくなる
急速減量で、体を守る免疫の働きが下がります命にかかわることもある
海外では、急な減量が原因とみられる死亡事故も報告されています
レスリングやボクシングのように、計量から試合まで数時間ある競技でも、急速減量は体重の5%未満が目安とされています。柔術は計量のすぐあとに試合があるので、水抜きで落とした体重を戻す時間がありません。無理な減量は、体に危ないうえに、試合でも不利になります。
減量するなら、いつから・どれくらい
同じガイドブックでは、1週間に0.5〜1kgを目標に少しずつ落とす方法を「ゆっくり減量」と呼んでいます。また、計量から4時間以内に試合がある競技で、体重が階級を3%以上超えているときは、体脂肪の少ない人は階級を上げること、それ以外の人はまず1週間に体重の1%ずつ落とすことを示しています。柔術は計量のすぐあとに試合があるので、落とすなら時間をかけて少しずつにしましょう。
- 1か月前試合の道着を着て体重を量る。上限より重ければ、1週間に0.5〜1kgのペースで少しずつ落とす
- 1週間前食事の量を急に減らさない。揚げ物やお菓子など、脂質の多いものを控える
- 前日消化のよいものを食べる。水分はいつもどおりとる
- 当日試合の3〜4時間前までに食事を終える。計量のあとは、少しずつ水分と補食をとる
キッズや中高生は、成長のために大人と同じくらいのエネルギーが必要な時期です。減量はせず、いまの体重で出られる階級を選びましょう。
前日と当日の食べ方
日本陸上競技連盟の試合の食事の資料では、次のように整理されています。
- 1
前日
消化のよいものを。揚げ物や刺身などの生もの、いもや根菜など食物繊維の多いものは避けます。遠征先では、食べ慣れないものに手を出さないようにします - 2
当日の食事
試合の3〜4時間前までに、なるべく食事を終えます。ごはんなどの主食をしっかりとり、おかずは少なめで消化のよいものにします - 3
試合の合間
1日に何試合もあるときは、試合のあいだに1時間あたり体重1kgにつき1〜1.2gの糖質を補います
柔術のトーナメントは、勝ち上がるたびに同じ日に何試合も続きます。たとえば体重60kgの人なら、1時間に60〜72gの糖質が目安です。おにぎり1個とバナナ1本で、約63gになります。
- エネルギーゼリー1個約45g
- あんパン1個約42g
- おにぎり1個約40g
- カステラ1切れ約25g
- バナナ1本約23g
- 100%オレンジジュース約22g
試合の直前は、おなかの具合に合わせて量を調整します。練習のときから、何をどれくらい食べると動きやすいかを試しておくと、当日に迷いません。
当日の持ち物(食べ物・飲み物)
- おにぎりやパンなど、主食になる補食
- バナナ、エネルギーゼリーなど、すぐ食べられるもの
- 水やスポーツドリンク
- 試合で着る道着(計量で着るもの)
ほかの持ち物と当日の流れは、柔術の初試合ガイドにまとめています。
よくある質問
水抜きはしたほうがいいですか?
おすすめしません。柔術は計量のすぐあとに試合があるので、水抜きで落とした分を戻す時間がなく、動けなくなるうえに体にも危険です。普段の体重で無理なく出られる階級を選びましょう。
前日の夜に食べても大丈夫ですか?
食べて大丈夫です。当日に力を出すためにも、前日は食事を抜かず、消化のよいものをいつもの量を目安に食べましょう。
体重を落として、下の階級で出たほうが有利ですか?
柔術は計量のすぐあとに試合があるので、体を絞って下の階級に出る作戦は、動けなくなる危険と隣り合わせです。初めての試合は、いまの体重で出られる階級で、技を出しきることを目標にしましょう。
試合のない日のダイエットはどうすればいいですか?
練習の運動量と食事の考え方は、柔術でダイエットできる?にまとめています。
参考:IBJJF「Weigh Ins」、日本ブラジリアン柔術連盟「IBJJFルール」、国立スポーツ科学センター「体重階級制競技 体重管理ガイドブック」、日本陸上競技連盟「試合時の食事のポイント!」